涼宮ハルヒの陰謀

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)
結局、ハルヒシリーズは第1巻が一番面白かったわけですよ。
例えばスレイヤーズなんかは、続きを想定した終わり方で富士見ファンタジア大賞に応募していてそれはそれで問題アリなんですが、ハルヒの場合は応募作で完結、ね。
話を伸ばして何を得られたかって、長門の別側面を見つけられたくらいじゃないですか?
もしくは、みくるさんのコスプレが、いとうのいぢ画で沢山見られるとか。


ハルヒキョンの話なんて一巻が全てで、その後の展開なんてほんっと微妙。
ツンデレっていう観点で見れば、ハルヒは確かに極上のツンデレなのですがそれも1巻ラストに比べると2巻以降は明らかにスケールが落ちる。
しかも長門も同じような持っていき方をしてるから、被っちゃうし。
「デレ」の部分を小説の内の1%に満たない割合で織り交ぜているのは個人的には評価しますが、それは最初から(つまり一巻から)貫いてないとどうしようもない誓いです。
松阪牛のステーキを食べたあと、ファンシーカルパスはとても美味しいとは思えないのです。


それに最近は、未来からの指令に四苦八苦で、ハルヒキョンがまったくイキイキしてないってのも問題ですよ。
ぶっとんだ行動と思考と確かな自身が美しいハルヒが影を潜めているのは嘆かわしいことです。
この巻だって、みくるさんがメインとはいえ、ハルヒの出番があまりに少ない。干渉も少ない、意志も少ない。
未来から急かされて一所懸命その通りに動かそうとしているのを読んでいるのは、ちょっと息苦しいですね。
なんつーか、お話のなかだけではもっと好きなことを好きなようにしてほしいってのがあります。


良くも悪くも角川スニーカーらしいって所かな。


読者に媚び過ぎの電撃より好き、って言う人も結構いるんだろうし。
萌え、なんか気にしないぜーっていう姿勢は評価してもよかろうもん。
でもやっぱ挿絵には気を使う中途半端さも割りと好きでいいかもしれないもん。