その、肩に流れる髪を、どう表現しようかと私は考えていた。
白く濡れた人差し指でかき上げる艶やかな黒髪は、ほんの少しふわっと浮いて、また更々と貴女の頬に流れていきます。
その髪をそっと口に含んでみたい、といった私の頬はもうどうしようもなく真っ赤で、その先の失言に私はただ落ち込むばかりです。


それでも。
重力に伴い、従い、共に、友に私たちは下へ下へ行くのです。
先に走る貴女の黒髪は、私には掬う私の手の指先も少し切れてしまいそうで、あの髪の細さを感じていていいのでしょうか、と一人自問しております。


柔らかな、髪。
透き通る、指。
その細い首を少し私の方へ抱き寄せる事が出来たなら、多少の不都合など、ようやく知りえた魔法で吹き飛ばして差し上げます。
でも。
それにしても柔らかい肩。暖かい首。


そのまま朝日を迎えられたのなら、どれだけ幸せな事だったのでしょうか。