WILD ARMS 4th Detonator

ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター(初回生産版)
では、ストーリー面での感想を。
激しくネタバレ注意です。


気持ち悪い…


…アスカじゃないです。
とりあえず二周目でラクウェルHappyENDってのがあればまだ話は変わるかもしれませんが、多分変わりません。
主人公のパーティであったラクウェルですら「大人」に成れませんでした。
その排他的なストーリーが気持ち悪いのです。


ジュードは人間との交わりを絶ち森林に生きることで子供性を維持しました。
ユウリィは子供を見つめ育て続ける役割を得ることで子供との繋がりを維持しました。
ルノーは大人になってしまったけれどもラクウェルとの子供を育てるということで未来へ向かっています。
ラクウェルは、3人に比べれば大人すぎました。19歳という設定も大人の一歩手前ですよね。
常に3人を支え、見届け、守るという立場…言うなればブリューナクの面々と同じ立ち位置に居たのだと思います。
ジュードは「大人」という壁を越え続けました。「悪いこと」を考えている「大人」を徹底的に排除して「神剣」に辿り付き、破壊しました。


しかしその道程は、屍の上にあるのです。
とても曖昧であやふやに描かれていますが、ブリューナクは誰も彼も皆死んでいます。
ジュードに対する問いかけは、ジュードが答える前に「大人」達が自己完結させ、只前へと推し進めます。
しかし、皆死んでいます。
ジュード達は「悪い大人」を殺しているのです。
シエル村の元ARM研究員の人間を始めとする、この世に何の干渉もしない様、只責任を逃れるためにのうのうと生きている大人には目もくれず
自らの意思で立ち上がり、武器を手にした「悪い大人」達を次々となぎ倒して殺していったのです。
少なくとも、世界に対して非干渉であろうとする人間よりも、自らの手で世界を変えようとする者の方が
生きている価値はあるし、つまりそれはジュード達の生き方とも繋がってきます。
しかし、意思を持った「悪い大人」の主張は全て認められない。
ガウン。クルースニクでさえ消されました。ジュードの手に直接かかったわけではないですけどね。
そして、その二人を並べるなら、ラクウェルもまた、消されたのです。


唐突ですが、WA4はかなりクリア時間が短いです。
早い人なら20時間もかからないうちにクリアしてしまうでしょう。
そしてその中に。
戦争に対して真っ向から反対する。
13歳の少年に対して。
武器。
を持たせているのです。
それも、最強に値する武器、を。


ジュードは、その武器で多くの「人間」を殺します。
殺すのは、例え異能の集団であっても「人間」です。
しかも、それぞれ自分なりの意思・主張・支え・意志を持った、稀な大人達です。
そいつらを、目の前に現れた「悪い大人」達を、ジュードは消していきます。
其処に、何の感慨…と言っては失礼になるが、それでも、人を殺す、といった大きな業に対しての意識が低すぎる。
それは、少年の特権だ、として本当にいいものだろうか。
それを、少年の特権だ、と認めているのは確かに大人達だ。
とてもカッコイイ言葉でジュード達を見送っている。
だが。
皆。
死んでいるのだ。


結局何が言いたいか、っていうと。
屍の上に銃(ARM)を持って立つジュードの心が、あまりに、神聖化されすぎている。
と、いうこと。とてつもなく意図的に。そして
その神聖な光が、全ての意志持つ大人を焼き尽くし、認めず、消滅し尽くしてる
と、いうことです。
結果的に
描かれ続けているジュードの思いとは別に、製作者側の意図が見え隠れしつつもしっかりと明確に出てきてしまっているその矛盾。
…矛盾ではないですね。ジュードをジュードのままでは居させない。しっかりと確固たる意志を持ち意見を述べている。
しかしそれはジュードの背中の後ろから。
そういうどっちつかずの曖昧な表現。いや、キャラからしてみれば冒涜とも言える行為。
それが気持ち悪いしムカツクし吐き気がするのです。


何をしても言い訳ではないだろう?お前が神と言うわけではないのだろう?
なのに何故平然としていられるのか。
「主人公の少年」という免罪符を使って、とても都合のいい理想論をジュードの後ろから叫んでいるような
そんな狡さ。気持ち悪さ。
それを、感じる。
「少年」という武器を使って「少年」という壁の向こうに隠れている。
そんな存在が、ブリューナクの様な意志を持った人間を、殺しているのだ。
これを気持ち悪いと言わずして何と言おう。
ホント
13歳の少年に、意志ある大人達の最期を次々と看取らせてそれでも尚、自分達の掲げる正義というなのつっかえ棒で
少年を前線に送り込み続け、全ての意志を自分たちの思う所の正義、でやり込めていくそのやり方。
本当に見ていて気持ち悪いです。


…。
…。
…。
まぁ、正直、絶対に許せないのは。
ラクウェルを拒んだ。
その一点、ですがね。
あ、これは勿論今までの流れとは無関係ですよ。
ちょっとした茶目っ気です。嘘です。